(2001.03.04)

　このままでは終われない、と思った。昨年は予定よりも10分遅れ。今年こそは。

　練習を始めるに当たって、今回の目標は思い切って３時間半とした。10月に始動。練習での目標は、６キロ弱の標高差80mの周回コースをキロ4.5分で走ること、25キロを２時間で走ることである。結構厳しいと思ったが、前者は１月末に、後者は２月初めに達成。いよいよ今度こそはと思う。
　しかし、30キロ走ったあとに、まったく余裕がない。２月末の練習では走り終えたあとの余裕はあるが、逆にタイムは落ちてきた。１月半ばの右足首の故障も練習不足として響いているようだ。負担をさけるためにつま先から着地するフォームに変えた。

　前日は大雨で、当日昼前にやんだあとに大風との予報。まずい。大丈夫だろうか。大雨は論外だが、大風も小雨以上にたちが悪い。
　幸い当日朝には雨もやみ、スタート時には日が差してきた。まだ風は強くない。後半の冷たい向かい風を予想して、Tシャツの上に長袖を着る。一週間前の練習の具合から、３時間半はあきらめ、35分を目標とした。５分の違いなど大したことはないと思われるかもしれないが、後半のバテが全然違うのである。右足首はまだ少し痛い。

　いよいよスタート。今年は少し前の方なので、３分少々で走り出した。初めはゆるい向かい風。少し走ったところで、Panasonicの派手なTシャツを着たおじさんが目に留まった。周りより少しだけ早めの良いペース。あの人についていけばちょうど良いだろう。しばらくゆっくり走ると、５キロ地点がやってきた。スタート地点を越えてから26分半ほど経っている。ちょっとペースが遅すぎだ。ここから少しだけペースを上げた。
　コースは南に折れ、ゆるい追い風になった。ゆるい追い風というのは、走っているとちょうど風が止まったようになり、一気に体温が上昇する悪条件である。おまけにかんかん照りとなり、汗がでてきた。うーん、Ｔシャツを下に着るのではなかったか・・。濡れタオルを用意してきたので、取り出して顔を拭う。
　10キロ、15キロとキロ５分弱のまずまずのペースで快調に過ぎた。相変わらずの追い風で、タオルで汗を拭きながら走る。15キロを越えたところでPanasonicのおじさんを追い越して先に行く。ここから20キロまでは緩やかな上りが続く。

　中間点は１時間と45分半で通過。想定していた何通りかのうち、もっとも遅いタイムだ。３時間半はもうムリ。35分もちょっとあやしいか。だんだん曇ってきた。坂をゆっくりと下り、北に折れて、思ったより弱い向かい風の中を折り返し地点へと進む。25キロを過ぎて東へ向かい、折り返し地点を過ぎるととたんに向かい風。30キロを過ぎると西へ向かう道で時折強い向かい風が行く手を阻み、一気に身体が冷える。二枚着てきて良かったとはじめて思った。だんだんペースが落ちてきた。無料しし汁コーナーを横目で通り過ぎる。何も食べる気がしないが、エネルギー切れになると走れないので、アメを出してなめ続ける。無理に手を振ってはあはあ息をしないと足が出ず、ちょっとボウッとするととたんにペースが落ちる。後ろからオジサンが追い上げてきたので、便乗させてもらってしばらく併走し、何人かを追い越していった。まだペースは極端には落ちていない。
　35キロを過ぎて給水所を過ぎると、オジサンは後ろに下がっていった。それにつられてかこちらのペースもどんどんダウンする。無理に息をするが、ペースを上げてはあと７キロも走れそうにない。キロ６分で何とか走り続ける。前回はもう少し後ろだったので、このペースでも追い抜ける人が結構いたが、今回は周りもほぼ似たようなペースで、何人かを追い越し何人かに抜かれていく。足が重い。
　ようやく40キロを過ぎる。もう３時間半近い。今回は初めて止まったり歩いたりすることなく完走できそうだ。思い切ってペースを上げてみよう。キロ5.3分まで上げる。このペースだとそう長くは持ちそうにない。あと１キロ。何とかもう少し。北に折れ、あと500m、前の人はペースをさらに上げたが、これ以上は足が動かない。西に曲がっていよいよゴール、疲れた足どりだったが、ゴールの写真を完走記念に送る、というのを思い出し、無理に表情を整えフォームを整えてゴールイン。スタート地点を越えてから３時間40分半。

　すぐに立ち止まると笑顔も失せ、ボウッとした感じ。係員に思わず、大丈夫ですか、と声をかけられた。苦笑いをし、手を上げて歩き出す。ペットボトル飲料をもらい、座り込んで２、３口飲んだ。気分が悪く、足の裏が異様に痛い。自覚はしているが、まさに不健康のために走っているようなものだ。マラソンとはつくづく身体に悪いスポーツだと思う。周りの人はどうしてあんなに元気なのだろう。 放送で、気温は５℃、スタート時よりも５℃下がったと言っている。
　足を引きずりながらささやま荘へ行って風呂に入った。足裏を見ると、両足とも大きな水ぶくれができている。道理で痛かったはずだ。走っている間気にならなかったのは、靴下が良かったからだろう。風呂から帰って土産物店に入ると、強風とともにみぞれが降ってきた。バスに乗って駅で降りたときには雪に変わっていた。

　今回は練習で670キロ、前回よりも300キロ近く多く走ったのに、昨年思った通り、10分早くなっただけだった。３時間半を目指すなら、あと少なくとも200キロ以上は必要ということか。
　うーん、やはりこのままでは終われない、かな。